例年、チリ・サンティアゴの冬季にはセントラルヒーティングに関するトラブル、水漏れ問題など

住居に関する様々なトラブルが発生します。


本記事では、冬季の生活についてご注意いただきたい点をお伝えいたします。

なお、雨漏りに伴うセントラルヒーティングの故障については以下の記事をご参照ください。


セントラルヒーティング(Calefacción Central/カレファクシオンセントラル)


5月に入りますと、皆様お住まいの各アパートにて暖房設備(セントラルヒーティング)が稼働し始めます。


すでに稼働しているアパートもあるかと思いますが、

本ページではセントラルヒーティングの仕組みと注意点、効率的なご利用方法についてのアドバイスをお伝えします。


セントラルヒーティングの仕組み


セントラルヒーティングの設備と仕組みはアパートごとに異なりますが、

最も一般的なものは、各ビルに設置されたボイラーを使用して暖房用の温水を沸かし

これをアパート各戸に供給することで部屋全体を暖める方式です。


一般的に、この暖房用ボイラーは各ビルの地下などに設置されており、

ガソリン・灯油・ガスなどを燃料とします。


しかしボイラーとは言っても、シャワーやキッチンなどで利用しているお湯とは別の、

暖房専用の温水循環パイプを用いて各戸に温水を循環させる仕組みとなっています。

※アパートによっては各戸個別に暖房用給湯器が設置されている物件もございますが、

 基本的な循環システムは同じです。


また、この構造を理由に、コントロールパネルでセントラルヒーティングの

電源を入れてから室温が上がってくるのを体感できるまでに数十分は掛かります


ですので、すぐに室温を高めたいという用途には向きません


アパート内の温水循環


先述した温水循環パイプは、以下の3タイプに分かれています。


温水循環パイプの種類
  1. 床下タイプ(床材下部に設置)
  2. 天井タイプ(天井シーリング上部に設置)
  3. ラジエータータイプ(壁面に設置)


ボイラーからポンプで各フロアに供給される温水は、各戸のセントラルヒーティング用の供給バルブから

使用量計測メーターを経て各アパート内に供給されます。


また、供給水量は室内の気温とコントロールパネル設定温度に準じて調節されます。


アパートによっては、屋内のリビングや寝室ごとに区分けして

温度(温水量)調整が可能なタイプもありますが、

アパートのお部屋全体をまとめて管理調節するタイプが一般的です。


温度調節


各アパートに設置されたコントロールパネルでの温度調節の仕組みは、

メーカーごとに若干異なります。

こちらはコントロールパネルの一例です。


基本的にはコントロールパネル内に組み込まれた温度センサーが室温を計測し、

設定温度より低い場合には温水量を上げるためのバルブが開き温水量が増えます。


そして設定温度に達すると、バルブが閉まって温水量を少なくします。


このため、設定温度を高くしても室温に反映されるまで時間が掛かります。


また、室温の計測はコントロールパネル内の温度計(サーモスタット)で測っているため、

窓/ドアが開いて外気が入ってくる状況では温度測定が正常に機能しません


無駄に温水を循環させることになりますので、

セントラルヒーティングご利用時には窓/ドアを閉めてご利用ください

※ただし、他の種類の暖房器具を併用する場合には換気にご注意ください。


以上のことから、セントラルヒーティングをご利用いただく際の感覚としては、


✖ 部屋をポカポカに暖める  

◎ 部屋が寒くなりすぎないようにする 


といったご理解で利用いただくことをお勧めします。


暖房代(暖房用温水使用料)


使用方法次第では、トラブルの原因になりやすいセントラルヒーティング。


アパート/管理会社ごとに課金システムが異なるため、一概には言えませんが、

同じ暖房システム/使用方法でも、状況によって請求金額が異なる場合が多々あります。


暖房費用請求方法は主に以下の3通りです。


  1. アパートごとの暖房用温水使用量に応じて従量課金
  2. アパート全体の暖房費用を(使用状況に関わらず)戸数で割って定額請求
  3. アパート全体の暖房費用のうち一定の割合を各戸で均等負担し、残りを使用温水量に応じて請求

上記の通り、個々のアパートや管理会社ごとに、算出方法や請求方法が異なります。


そのため、例えば温水使用料に応じて負担という計算方法の場合、

極端なケースで例えれば、全戸のうち1戸(または数戸のみ)しか

セントラルヒーティングを利用しなかった場合、その請求額は割高になる傾向があります。

逆に、利用戸数が多い場合には全般的に割安となります。


アパートによっては、利用者が少ないためにコスト面からセントラルヒーティングを使用しない

といった判断を取るアパートも存在します。


また、設定温度を高くして、かつ窓が開けられた状態で

セントラルヒーティングを常時つけっ放しにしていると、大量の暖房温水を使用することとなります。


暖房代の請求額が非常に高額な請求となることもありますのでご注意ください。


効率的にご利用いただくために…


床暖房はその構造上、室内を短時間で急速に暖めるという用途には不向きですが、

長時間にわたってアパート全体を満遍なく暖めるといった用途には向いている暖房システムです。


先述の通り、比較的利用戸数の多いアパートでは、

他の暖房機器などと比較してもリーズナブルにご利用いただける場合もあります。


つまり、使い方次第で状況は大きく異なってきます


暖房代を抑えながら効率的にご利用いただくためには、以下のことをご留意ください

  • 窓を閉め気密性を高めて利用する。
  • 18度〜20度といった低めの温度に設定し、高い温度設定は避ける。

特定の部屋で長時間過ごすライフスタイルの場合、セントラルヒーティングより

個別の暖房器具(電気ヒーターなど)がより効率的な場合もあります。


使い方次第では、月々の暖房費が数十万ペソに跳ね上がることもあり得ますので、

以下の点にもご注意ください。


 

  • 使用時には窓/ドアを閉め、外気が流入しないようにする(ただし定期的な換気は推奨)。
  • ご旅行などで長期間アパートを不在にする場合には、必ずセントラルヒーティングがOFFになっているか確認する。※コンセルへにセントラルヒーティング用の温水バルブを閉めてもらうとより確実です。
  • 最初の1カ月間は設定温度20度で使用してみて、翌月の共益費請求書の暖房費用部分の請求額を確認し、相場を把握する(暖房費がどの程度のものか事前に予想することは困難なため)。

アパート全体での使用状況とアパートごとの使用方法の組み合わせ次第では、

非常に効率的であり、また室内の空気を汚すこともない暖房システムです。


お客様それぞれの生活スタイルに合わせて使用方法等をご検討くださいませ。


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